こんばんは。集団指導室長の鈴木です。

 東京大学の現代文の過去問を解いていて、ひどく感動したのが問題文の選定です。本全体の文章から一部を切り取って問題化しているのですが、このセンスが良い大学はやっぱり一流だなぁと感じるのです。

 特に感動した、池上哲司さんの『傍らにあること 老いと介護の倫理学』という本を衝動買いして読んでいるのですが、東京大学が選定した部分は本の中でも重要な箇所で、これまでの話をまとめる役割を果たしているところでした。

 時間があればその話を紹介したいのですが、本日は前掲書の166頁に書かれている言葉を引用させて頂くにとどめます。

…自分で自分を肯定したところで、われわれはその頼りなさに慄然とするばかりである。自己は他者に肯定され受け容れられない限り、安定を確保できない。

『傍らにあること 老いと介護の倫理学』より。

 まさにその通りだと思いました。他者との関係において自分が形づくられていくのです。この引用以降にも書かれているのですが、近世以降、私たちは個人の確立にばかり気を取られて、他者を競争相手のような"対象"だと思い、人として捉えない傾向があるように感じます。

「ぼっち・ざ・ろっく!」というアニメの第4話には、主人公が歌詞を書いてバンドメンバーのひとりに見てもらう場面があります。世の中が求めているのはこういうことなのではないかと思って書かれた歌詞に対して、メンバーのひとりはこう言い放ちます。

「個性捨てたら死んでるのと一緒だよ」

 そう言われ、今度は自分の好きなように歌詞を書いて持っていくと、主人公らしいとメンバーが認めてくれるのです。

「少ないかもしれないけど、誰かの心には深く刺さるんじゃないかな」

 この作品では、こういったところに本当に泣かされます。子どもたちからは理解されないのですが…。

 このように、他者によって認められるという機会を、塾としてはたくさん生み出していきたいと考えます。それが、この国や世界の幸福につながるもとになるのではないでしょうか。

 セノバで鑑賞しました。誰かと会うのではないかと、それだけで冷や汗が止まりません(笑)。

 ところで、この一週間のスマホを見ている平均時間が9分でした(´Д`; )。さすが夏期…。