こんにちは。集団指導室長の鈴木です。

 最近まで、録画してあったあるドラマを少しずつ消化していました。BSでやっていたので、ご存知の方は少ないかもしれません。ただ、以前原作が本屋大賞1位、さらに映画化もされましたから、どこかでお聞きしたことはあるかと思われます。

 『舟を編む』という作品です。

 映画も良かったので、ドラマはどうかな? と思っていましたが、令和に合わせた調整も絶妙で、心が洗われるような作品に仕上がっていました。ほぼ毎回泣いていましたが、子どもたちにこういったことを伝えても、「えー! 泣くことなんてあるの?」と言われてしまいます。人間ではないと思われているのかも。

 本日は、そのドラマのある場面を引用したいと思います。ネタバレとなりますので、ご覧になりたい方はご注意ください。

 第9話で、ドラマ版の主人公である岸辺みどりが、自身の不注意で『大渡海』という辞書(このドラマは、辞書づくりが主題なのです)の刊行が遅れてしまうかもしれない危機に陥ります。それに対する辞書づくりメンバーのセリフが以下になります。

岸辺みどり「本当にすいません!」

馬締光也「いえ、責任は全てアンカー(まとめ役)である俺にあります」

荒木公平「見逃したのは俺だよ。初校からずっと『ち』音節担当はこの俺だ・・・。悪かった!」

天童充「いや、俺だってファクトチェック(検証)で何回も・・・。ほんと、すいません!」

佐々木薫「いえ、そもそも見出し語リストを打ち込んだのは私です。私のミスです。申し訳ありません」

松本朋佑「ごめんなさい。『大渡海』の監修者は私です。心から謝罪いたします」

※一部、話がわかりづらくなる可能性があるためカットしたセリフがあります。

 年齢や立場上の上下関係をこえて、メンバー全員が本気で謝罪をしています。岸辺みどりだけが悪いのではなく、全員が、むしろ原因は自分にあったというスタンスなのです。もちろんドラマだからとか、演技だからという見方もあるでしょう。しかし、そういった見方をこえて、その人が本気で言っているのか、嘘っぱちで言っているのかは、その人のしぐさや声色などである程度わかってしまいますから、たとえこのシーンが現実的な話ではなかったとしても、人としてかくありたいと思うことには変わりありません。

 みなさんは、謝るときに、本気で謝っていますか。

 人間、心のどこかでは「自分は悪くないけどなあ」「関係ないし」と思いがちなのではないでしょうか。

 しかし、そうやってごまかしてみたところで、そのごまかしは自らに刃となってかえってくることが多いです。つまり、ごまかしの人生を歩むことになるということです。

 何事も、自分に関係のないことではない。あらゆることに関心をもって、まるで自分のことのように事にあたれたら素敵ですね。私もそのような人になりたいと思い、日々研鑽を積んでいます。

 勉強も一緒なのです。これはやったほうがいい、これはやらなくてもよいと勝手に決めつけて、自分のやりやすいようにやってはいませんか。

 決めつけほど楽になることはありません。だって、決めつけてしまえばそのことに関心を示す必要がなくなり、労力を使わなくて済みますからね。しかし、決めつけはそのひとの器をひどく狭めます。

 この世の中は上手くできています。近道やまわり道なんてありません。ですから、まずは目の前にあることから目をそらさずに、日々を大切にして過ごしていきたいですね。

 長崎県の西海市で撮りました。歩いていて、「この構図は!」と思うと何でも撮影してしまう癖があります。だから怪しい動きを・・・。日常の何気ない一コマを際立たせたいんですよね。