こんばんは。集団指導室長の鈴木です。

 昨年読んだ本のひとつに、養老孟司さんの『ものがわかるということ』があります。この本の105ページに、このような記述があります。

 脳が「こうしよう」と思ってから、その後に行動すると考えている人が多いですけれど、逆です。脳を測ってみると、まず水を飲むほうにはっきりと動き出して、そのコンマ何秒後かに「水を飲もう」という意識が起きています。

 つまり、身体が先に動き、意識は後からついてくるものだということです。

 また、藤枝市出身の池谷裕二教授が、「やり始めない限りやる気はでません。やる気は行動の原因ではなく結果」であるとtwitter(当時)上でおっしゃっていたことがあります。つまり、行動することでやる気は生まれてくるということです。

 これらのことは、何気なく過ごしてしまいがちな日々の生活に、重大な示唆を与えてくれるものだと思います。

 頭で考えてんじゃねぇ、動け。

 と、背中を押されているように感じます。思えば私たちは、何か行動に起こしているときほど新たな発見や気づき、次に何をしたらよいのかというひらめきを生み出しているような気がします。そう考えると、自ら動いているわけでもなく、また、何かを生み出すでもなく受け身の状態が続いてしまうのは非常に危険ですね。

 わくわくして、思わず身体が動いてしまうという感覚が、年々減っているかもしれない…。我々大人のほうが、そういった瞬間を増やしていかないと、頭でっかちになってしまい、人間がくさってしまいそうです。子どもならなおさら、動かないことが致命傷になりかねません。例えば、「外で遊ぶ子が少なくなった」というのは、時代なのかもしれませんが、上記のように考えてくると実は大変恐ろしいことなのではないかと思うのです。外は危険だから…と子どもを守っているつもりが、かえって子どもの潜在能力を削いでしまっているのかもしれません。

 私たちは、情報過多の時代にあって、足元をしっかりと見据えることができなくなっているのではないでしょうか。人間にとって何が本当は大切なのか。身体のしくみから考えて、どうしていくことがより健全なのか。自らの身体を動かすことを通じて己を知っていくという原始的な発想が、文明の進んでしまった我々には求められているのかもしれません。

 昨年、京都の清水寺に向かう坂の途中(松原通り)で撮ったものです。なぜか元気が出てくる文言です…! 今は写真に位置情報が自動的に保存されているので便利ですよね。正確な場所はすっかり忘れていました。私は目に飛び込んできた興味惹かれるものをひたすら動き回りながら撮りまくるので、はたから見ると相当キモいと思われます(笑)。旅先で見かけてもそっとしておいてあげてください…。