こんばんは。集団指導室長の鈴木です。
これまでに、「舟を編む」や「正直不動産」「17才の帝国」などのNHKドラマをオススメしてきました。しかし、私には、人にオススメするたびに「オススメするに値するものだったのだろうか…」と思い、本当に価値のある作品なのか、改めて見返してみるという変な癖があります。変な癖ではありますが、何度か繰り返し視聴することにはメリットもあります。それは、初見では気づけなかったことにも目が行き届くということです。例えば、先日ご紹介した「17才の帝国」も2年振りに見直しているのですが、今注目を浴びている河合優実さんがご出演されていて大変驚いています。また、字幕をつけて一言一句内容を確かめているので、制作者の伝えたいメッセージを深掘りしやすくなります。例えば、河合優実さんが演じられた人物のセリフには、次のようなものがあります(黄マーカー部分。以下、ネタバレ注意!)。
「政治家にとって、支援者は不可欠だ」
「そういう支援者って、自分たちの立場を主張してばかりで、住民は蚊帳の外。蚊帳の内側にいる人間が、実は害虫なのに」
「批判だけだったら、誰にだってできんだよ」
「誰にだってできることをやるつもりはない。そういう内輪びいきな政治とやらを変えるために、ここにきた」
※一部、未視聴の方に配慮し、ドラマ内専用の用語を変えさせていただきました。
たとえご覧になっていなくても、熱いメッセージだとは思いませんか? 確かに、害虫は言い過ぎかもしれませんが(笑)。でも、「17才の帝国」は熱いドラマなのです。少し展開が早いため、見過ごしがちなちょっとしたセリフを何度も繰り返し見ているうちに、段々と自分の身体にメッセージが溶け込んでくるような感覚になります。自分も何かを成し遂げたいという気持ちになり、奮い立つのです。
今、子どもたちが向き合わねばならない勉強にも、同じことが言えそうです。繰り返すことで初めて気づけることがあります。簡単なようで奥深い魅力が、学問にはあるのです。しかし、そこに気づける子どもは圧倒的に少なくなりました。なぜなら、あらゆることが効率をもとめて短縮化されているからです。しかし、人間自体は変わっていない。ここがポイントなのです。効率・タイパ・コスパなどの言葉に惑わされてはならないと感じます。技術などが発展しても、人間自体が進化しているわけではない事実を、私たちはもっと謙虚になって受けとめるべきだと思います。幸不幸の分岐点は、そういった点にあるのではないでしょうか。私にはそう思えてなりません。
岩手県の龍泉洞で撮影しました。深い青です。
※余談ですが、「舟を編む」がBSP4Kで7月27日から再放送されます。気になる方は是非。